公的保障や勤め先の保障が充実している会社員、公務員と違って、自営業者に備わっている保障は残念ながら手薄です。たとえば、「遺族年金」は「遺族基礎年金」のみで上乗せはありません。医療保障も、自営業者が加入する「国民健康保険」の「高額療養費」は法定給付のみですし、「傷病手当金」の制度はありません。また、雇用されている労働者のための保険「雇用保険」、「労災保険」には入れないため、仕事を失った場合の収入保障や、仕事中の事故による休業補償もないことになります。
公的年金 | 厚生年金 (国民年金第二号被保険者) |
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公的医療保険 | 健康保険組合 付加給付がある組合も |
雇用保険 | 加入 |
労災保険 | 加入 |
公的年金 | 厚生年金 (国民年金第二号被保険者) |
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公的医療保険 | 協会けんぽ 法定給付のみ |
雇用保険 | 加入 |
労災保険 | 加入 |
公的年金 | 厚生年金 (国民年金第二号被保険者) |
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公的医療保険 | 共済組合(短期給付) 付加給付がある組合も |
雇用保険 | なし |
労災保険 | 法律による補償あり |
公的年金 | 国民年金 (国民年金第一号被保険者) |
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公的医療保険 | 国民健康保険 法定給付のみ |
雇用保険 | なし |
労災保険 | なし |
一家の大黒柱が自営業者で妻にはほとんど収入がないという家庭は、会社員の家庭に比べて大黒柱が倒れた場合の経済的リスクが高いといえます。死亡保障として見込める「遺族基礎年金」も、子どもがいない妻には支給されないため、妻が自活できるようになるまでの期間の生活資金を備えておく必要があります。どれくらいの期間を見積もるかはケースバイケースですが、若い世代であれば比較的短期で経済的な自立を目指すのが現実だと考えます。万一のことが起こる可能性のほうが無事であるよりずっと低いわけですから、保障額を見積もる際はあまり大きくなりすぎないよう注意しましょう。
公的保障を補う保険・共済の掛金をいかに抑えられるかを検証した上で、仕事上の事故などにより障害状態になることが考えられる場合には、事故による死亡・障害の保障を手厚くしておくといいでしょう。損害保険の「傷害保険」などでカバーできます。また、病気・ケガの療養中の収入ダウンに備え、「所得補償保険」「就業不能保険」への加入も検討の余地があります。